携帯電話がなかった頃、純愛があった。
(『愛と死をみつめて』)
親愛なる君に

大和書房で中谷本を担当している白井麻紀子さんが、
『愛と死をみつめて』(大島みち子・河野実)を、41年ぶりに復刊しました。
マコとミコは、僕より少し上の世代ですが、
青山和子さんが歌った歌も、そらで歌えます。
母親もいつも、口ずさんでいました。
映画版も、TBSドラマ版も見ています。
浜田光夫さん吉永小百合さんで知っていたので、
まるで童話のように、原作を読んだつもりで、読んでいませんでした。
読み返してみると、面白い発見がたくさんありました。
「テーブルセンターを送ります」という手紙があるんだけど、
僕が小学生の頃、女の子が好きな男の子にテーブルセンターを
贈るというのが、流行ったことがありました。
「吉永小百合」というのが、手紙に出てくるのも、面白い。
3年1か月の間にやりとりされた400通の手紙の最後のミコからの手紙は、
まったく最後の手紙と思えないようなさりげない手紙でした。
それがリアルで、泣けました。
本人は、決して最後の手紙だとは、思っていなかったからです。
携帯電話がなかった頃、純愛があったんですね。

                        彰宏より。
P.S.
マコさんと、一度、お会いしたことがあります。
童話の登場人物に会うような不思議な感じでした。