タクシーの運転手さんに、「伸びる人ですよ」と、ほめられて、喜ぶ。
親愛なる君に

タクシーの運転手さんに話しかけられる達人の僕は、
また話しかけられました。
「お客さん、テレビ局のプロデューサーですか」
「いえ、違うんですけど」
「じゃあ、出版社の編集者だ」
「おしい……僕は、本を書いてるんです」
もちろん、僕のことは知りません。
僕は、1人で乗っていました。
「やっぱりね。いろんなお客さんを乗せてるから、
職業が、わかるんですよ」
「そうでしょうね」
「お客さん、『伸びる人』ですよ」
初対面というか、初めて乗ったタクシーの運転手さんから、
伸びる人と言われて、うれしかったです。
伸びそうな気がしました。
「どうして?」と、聞きたかったけど、聞きませんでした。
降りぎわ、「がんばってください」と声をかけられました。

                        彰宏より。
P.S.
しばらくしてから『カンフーハッスル』のワンシーンを思い出しました。
カンフーの教本売りの男が、会う子供みんなに、
「お前は、天才だ」と言って、売っていたシーン。
でも、これって、大切なことですよね。