僕の仕事の量とスピードは、「味一」の底なし沼中華丼で鍛えられた。
(中華丼時代)
親愛なる君に

その人の人生哲学は、食べ物によって決まります。
僕は、恋愛でもそうだけど、
好きな食べ物にも、ハマります。
ハマっている食べ物で、人生を区切ることもできるくらいです。
東京に来て、最初にハマったのは、予備校時代でした。
これを、「中華丼時代」と僕の人生の歴史区分しています。
駿台予備校のあった御茶ノ水の「味一番(通称・味一)」の中華丼にハマりました。
味もさることながら、量の多さが魅力でした。
丼鉢は、ラーメン用のものです。
そこに白ご飯を山盛り入れて、
色の濃いあんかけたっぷりの八宝菜がかかっています。
値段は、確か当時340円。
丼を受け取ると、必ずあんかけが手にべっとりつきました。
山盛りのご飯の上に、あんかけ八宝菜をかけるので、
外にあふれ出して、丼の外側全体にまで、あんかけがついている状態でした。
これが、食べても食べても、底なし沼のように減らないのです。
モタモタ一服しながら食べていると、むしろ増えているのです。
お昼休みは、超満員なので、昼休みが終わる直前にお店に行きました。
僕は、その大盛り390円をあっという間に食べて、
マロニエ通りを駆け上がり、さらに5階の教室まで階段で駆け上がっていました。
僕の「量とスピード」にこだわる仕事の美学は、
予備校時代の「味一」の底なし沼中華丼によって、作られました。

                        彰宏より。
P.S.
いまだに、御茶ノ水に行くと、食べてしまいます。
お店は、きれいに改装されたけど、味と量は変わっていません。