1行に勇気づけられた人の1行が、次の人を勇気づける。
(南淵明宏先生の『僕が医者を辞めない理由』)
親愛なる君に

秘書のパープル・淺野君が、読売新聞社の友達から
「『あとがき』に中谷さんのことが出てくるよ」と、ある本を教えてもらったそうです。
早速、僕も読みました。
『僕が医者を辞めない理由』(南淵明宏著/羊土社)です。

〈私は三〇代の後半、大きなつまずきを経験しました。
突然、当時の職場を離れなければならない状況に立たされました。
自分のせいであったのでしょうが、
周囲の人間からも突然、
裏切られたような気がして強い人間不信に陥りました。
当時は一カ月以上は本当にどん底の気分で、
打ちひしがれて気弱になり、
食欲もなくなって家でふさぎこんでいました。
あてもなく外出し、とぼとぼ歩いていると、
JRの駅のターミナルの最上階に本屋がありました。
そこでふと、作家の中谷彰宏さんの本を手にとってぱらぱらとめくってみると、
次の言葉に私の目は釘付けになりました。

 「世の中には二通りの人間がいる。
  失敗も成功もしない人と、
  失敗もするが成功もする人」。

この言葉を見た瞬間、私の体と頭脳は凍りつきました。
そして次の瞬間、体の芯に熱いエネルギーが再び点火された気がしたのです。
数年後、ある会合で著者の中谷彰宏さんに実際にお会いする機会があり、
このことを話すと、
「それは南淵さんの心の中に同じような言葉が初めからあって、
そのときにたまたま目に入った言葉が共鳴しただけですよ」
というふうなことを言われました。
なるほど、自分の中にすでにあったのか、とは言うものの、
やはり本屋で立ち読みして、
あの言葉に触れなければ、
自分の中にあった言葉を自分で捜せなかったのではないか、
とも思いました〉(『僕が医者を辞めない理由』「あとがき」から)

南淵先生の本を読んで、また勇気づけられる人も、大勢いるでしょう。
1行を書くということは、
その1行を読んで、生まれ変わる人を作り、
その人がまた1行を書いて、次の人を生まれ変わらせるのです。

                        彰宏より。
P.S.
僕も、勇気づけられました。