30度の真夏日になり、とうとうペースメーカーまで登場した。
(ラン・フォー・ビジョン2005その(2))
親愛なる君に

緊張のまま、ラン・フォー・ビジョン本番の朝を迎えた時、
予期せぬことが起こっていました。
10月だというのに、すでに気温は30度を超えて真夏日になっていました。
観測史上、数少ない10月の真夏日なので、もちろん、
ラン・フォー・ビジョンで、こんなに暑い日は、今まで体験したことがありません。
高橋尚子選手が2位になった東京国際や、
ラドクリフ選手がリタイヤしたアテネが、思い出されました。
僕は、昨年は、サポート機能のあるデューク更家パンツ&シャツで走りました。
今年の2回の練習も、それでこなしてきました。
デュークパンツは、サポート機能はあるのですが、唯一の欠点は、暑いことです。
僕の練習の悩みは、地下鉄に乗ってきたウインドブレーカーを
保管する場所がないことでした。
だから、デュークパンツに、さらに、ウインドブレーカーという暑い格好で、
練習していました。
時計は、そろそろ現場に向かう時刻が迫っていました。
僕は、決断して、スタート地点の半蔵門ではなく、ヴィクトリアに向かいました。
そこで、軽装のランニングシャツと短パンを買いました。
ショップの女性スタッフが言いました。
「あのう、こちろ、レディースになってますが、よろしかったですか?」
「えっ?」
いかに、あせっていたかがわかります。
レディースもごっちゃに、バッグに詰め込んで、
現場に着くとライバル坪田一男先生が、
すでに、軽くウォーミングアップを終えたところでした。
「この暑さは、想定済みで練習してきました。体温上昇を避けるために、
帽子を後ろ向きにかぶって、うなじを隠すんです」
さらに、坪田先生の今年の隠し球が登場しました。
「紹介します。僕のランニングコーチの永田さんです」
坪田先生は、コーチをつけて、練習していました。
「今日、永田さんに僕のペースペーカーをしてもらいます」
なんと、ラン・フォー・ビジョンは、ベルリン・マラソン並みになってしまいました。
坪田先生のマッチ戦が始まって、5年目。
ドーピングでも「なんでもあり」の試合に、とうとうペースメーカーまで登場したのです。
30度を超える高温。
ペースメーカー。
2つのピンチが襲いました。

                        彰宏より。
P.S.
どういう作戦にするか頭がぐるぐる回転するうちに、
スタートのピストルが鳴らされました。