詩を感じる人が好き。
(生協の白石さん)
親愛なる君に

僕は、ポエムな人が好きです。
「詩を感じる人」です。
19日の [レター] で紹介した東さんもそうです。
最近感動した「詩を感じる人」は、白石昌則さんです。
『生協の白石さん』(講談社)で紹介されています。
この本は、生協への質問・意見・要望に、
生協から答えるという掲示物を本にしたものです。
最初は「0.3ミリのシャーペンの芯20本入り210円を置いてください」という
商品のリクエストなんだけど、やがて、お客さんと白石さんの文通になってきます。
感動するのは、どんな質問にも、「そんなことには、答えられない」と切り捨てずに
淡々と、返事を書かれていることです。

〈お誕生日おめでとうございます。
(白石さん)お祝いの言葉、ありがとうございます。
誰宛なのかは、さっぱりわかりませんが、
もし該当者がいたら感激の余り、溢れる涙をぬぐいもせずレジ打ちしてることでしょう。
その場合、仮に涙で視界が曇ってしまったとしても、
お釣りの受け渡しは間違いがないよう、一同留意いたします〉

〈単位が、欲しいです。
(白石さん)私は、単車が欲しいです。お互い、頑張りましょう〉

〈リュウとケンは、どっちが強いんですか?
(白石さん)竜雷太と松平健なら、
全盛期ならおそらく竜雷太のほうが腕力は上だと思われます〉

〈牛をおいてください。
(白石さん)ご要望、ありがとうございます。
本日、丁度職場会議が開かれたのですが、結果、牛は置けないと、と決議されました。
即決でした〉

「ご要望、ありがとうございます。」に余裕があり、「即決でした」にユーモアを感じます。
この要望は、さらに続きます。

〈うしをおいて!
(白石さん)満場一致でした〉

ここまで来ると、愛を感じます。

〈愛は売ってくれないのですか?
(白石さん)どうやら、愛は非売品のようです。
もしどこかで販売していたとしたら、それは何かの罠かと思われます。くれぐれもご注意ください〉

これは、サービスの本と言うより、詩集です。

                        彰宏より。
P.S.
質問がやがて恋の質問になり、
質問者が、だんだん白石さんに恋をしていく展開を、
明日の [レター] 白石さん続編で、紹介します。