無邪気な人ほど、ストイックになる。
(業田良家さんの『世直し源さん』)
親愛なる君に

業田良家さんの『世直し源さん』(全3巻・竹書房文庫)に、感動した。
冒頭の、源さんに助けられた美人が、源さんにプロポーズすると、
なんと奥さんがすでに、5人(女子校生から70歳まで)もいた
というイントロで、一気に引き込まれました。
この設定だけでも、十分に面白い恋愛ストーリーができるのに、
贅沢にも、このお話は、硬派な政治マンガになるというところも、凄い。
業田さんのマンガの面白さを、3つ発見した。

(1) 主人公の男性が、無口。しゃべる時は、大切なことを言う。
(2) 主人公の男性が、一見、無邪気だが、ストイック。
(3) 主人公の男性に惚れる女性が、だんだんいい女になっていく。

これは、ぜひ映画にしてもらいたいと思っていたら、
文庫の第1巻の解説で、大月隆寛さんの「これは、ハリウッド映画にすべき。
源さんは、ブルース・ウィルス」という指摘に、なるほどと感服。
なんといっても驚いたのが、このマンガが描かれたのが、
1989年末〜1991年末だということだった。
てっきり、小泉内閣のパロディだと思って読んでしまっていた。
アスベスト問題なんて出てくるほど、先見性があるのだ。
この頃、僕は、業田さんの『武士の魂』や『自虐の詩』に感動して、
『面接の達人』のイラストを、お願いにいった、まさにその時期と重なる。
それが、ちょっと、うれしかった。

                        彰宏より。
P.S.
僕の好きな源さんの名ゼリフは、「妻は5人いるが、浮気はしていない」です。