宝塚は、偉大な娘役トップを、バレーボール界に奪われていた。
(大林素子さん)
親愛なる君に

湖月わたるさんの『ベルばら』の今回の最大の演出は、
炎のアタッカー大林素子さんの隣の席を取ってくれたことです。
大林さんは、芸能界一のヅカファンです。
大林さんの見方は、もう、うっとり眺めているという域を超えています。
ニコニコしながら、歌を全部口ずさんでいるのです。
それだけではなく、セリフもぶつぶつ言ってるのです。
わたる君は、いつも、前列2列目のど真ん中を取ってくれるので、
まわりは、大林さんみたいな毎日見てる人だけなのです。
踊り出しそうに、筋肉が動いているのも、わかります。
(あかん、この人は、抑え切れなくなって、きっと立ち上がって踊りだす)
と、僕は、ドキドキしました。
炎のアタッカーの瞬発力は、僕に押さえ切れない。
そうなると、僕も、巻き込まれると、僕は、覚悟を決めました。
ほとんど、舞台より、大林さんを見ていました。
楽しかった。
今回は『ベルばら』フェルゼン&マリーアントワネット&大林素子さんバージョンでした。
宝塚は、大型トップスターを、ひょっとしたら、バレーボール界に
奪われたのかもしれない。
「マリーアントワネットがやりたい」と、大林さんは言いました。
確かに、舞台を見ている時の大林さんの表情は、
男役ではなく、夢見るかわいい娘役のまなざしでした。

                        彰宏より。
P.S.
「私も舞台をやりたいんですけど、大きすぎて……」と大林さんは言いました。
「僕が、恋愛モノの相手役をしますよ」と、約束しました。