宙ぶらりんにされる快感が、イッセーさんの楽しさ。
(イッセー尾形さん25年公演)
親愛なる君に

イッセー尾形さんの『とまらないで25年!in 東京』(原宿クエストホール)に、
行ってきました。
イッセーさんのお芝居の面白さを、また発見しました。

(1) 着替えから次のお芝居に入る前の短い暗転。
(2) パッとライトがついた時の板付きのイッセーさん。
(3) フェードアウトでの終わり。

きわめて宙ぶらりんのまま終わるのです。
見ているお客さんの気持ちが、
屋台カレーを食べているうちに、屋台がいなくなって、
往来の真ん中でカレーをぽつんと食べているような宙ぶらりんにされるような。
いわば、自虐的な快感です。
イッセーさんの話は、話者とネタが、一致していないのです。
冒頭の「お葬式での産婆さん」でわかるように、
主人公が話しているエピソードの途中で、聞き手役が、いなくなってしまう。
話の続きを、あとから来た人が、途中から聞かされるのです。
それは、登場人物だけではなく、観客も同じなのです。
そして、そこがイッセーワールドの面白さだと、あらためて感じました。

                        彰宏より。
P.S.
珍しく歌物のあとに何をやるとかと思っていたら、
僕のお気に入りキャラの「田舎の副会長」で、ラッキーでした。