自分の書いた言葉に、いつもドキドキして感動している。
親愛なる君に

僕の書いた言葉を、最も味わっているのは、
きっと、僕自身です。
『刑事コロンボ』が、犯人がわかっているのに
何度見ても、面白いのと同じように、
僕は、自分の言葉を、毎回、初めての言葉のように
感じて、味わっています。
他の人の本を読みながら、
「ナニナニ……フムフム……ナルホド……なかなか奥の深い言葉だな。
うまいことを言うなあ」
と感心していたら、「出典・中谷彰宏」だったりするのは、日常茶飯事です。
自分の書いたものを忘れているというより、
言葉を監禁しないで、一人歩きさせているのです。
自分の小説を読み直しても、オチに僕自身がびっくりしているのです。
自分の恋人と待ち合わせをして、
やってきた彼女を見て、「ああ、キレイな人がいるなあ」と見とれている感じです。
だから、いつも、ドキドキして、新鮮なのです。
これが、作家と言葉の関係ですね。

                        彰宏より。
P.S.
今日も、そんなことがありました。