大阪では、「アポなし、チャイムなし」が訪問のマナーだった。
親愛なる君に

なぜ呼び鈴を押すのが苦手か考えてみました。
子供のころ、友達の家に行く時、
チャイムなんてなかったことを思い出しました。
友達の家に遊びに行く時は、
もちろん、携帯もなかったので、アポなしです。
チャイムなんて押さないで、
家の前から、「○○ちゃん、いてる?」と家の中に呼びかけるのです。
すると、おばあちゃんが、顔を出して言います。
「まだ、学校から、もうてきてへん(戻ってきていない)」
「ありがとう。また、来るわ」と言って、帰ります。
チャイムがあっても、押す大人もいません。
玄関を開けながら、「こんにちわ」と、大きな声で中へ呼びかけます。
その声で、「野田のおばちゃんが来た」と、わかるのです。
大阪に、チャイムというものがなかったのです。
知らない人の場合は、犬が鳴くのが、チャイムがわりでした。

                        彰宏より。
P.S.
「大将(ご主人)、いたはりますか」と来るお客さんに、
返事をするのも、商売をしている家の子供の仕事でした。