すばらしいタイトルは、どんな長編物語よりも、広い世界を持っている。
親愛なる君に

「中谷さんの本は、タイトルがうまいですね」
と、よく言われます。
僕は、自分が読む本でも、本のタイトルだけで、いけます。
背文字のタイトルを読むだけで、
ドキドキして、ストーリーが勝手に展開してしまいます。
すばらしいタイトルは、
どんな物語よりも、長編です。
僕は、タイトルに誘拐されるのが好きです。
どこかへ、連れて行かれる感覚です。
学生時代から、そうでした。
連れて行かれたタイトルは、
いまだに、連れて行かれたままです。
2つだけ紹介しましょう。
ひとつは、片岡義男さんの『さっきまで優しかった人』。
(あかん、せつなすぎる)
なんにも、説明が要りません。
もうひとつは、星新一さんの『おのぞみの結末』。
このタイトルには、どんな物語も、かないません。

                        彰宏より。
P.S.
一緒に、連れて行かれよう。