貸本屋さんがあったから、一生懸命、本を読む習慣がついた。
親愛なる君に

僕の子供の頃には、まだ「貸本屋さん」がありました。
「ここにあった」という場所も、
はっきり覚えています。
1日15円だったと思います。
おばあちゃんが、大学ノートに、
手書きで貸し出し記録をつけていました。
本だけでなく、大人向けの劇画もありました。
本を傷めると叱られそうなので、大切に読んでました。
借りてきた時には、すでに、ぼろぼろでした。
今でも、覚えている物語があります。
台風の夜、子供がケガをして、手術の必要がある。
ところが、台風で電線が切れたための停電で、手術ができない。
一瞬、奇跡的に、電気がついて、子供が助かる。
翌日、切れた電線を握りしめて黒焦げになって死んでいる
お父さんが発見されるという物語です。
感動したというより、怖かった記憶があります。
明日までに返さなければならない「貸本屋さん」があったから、
本を一生懸命、読んだんですね。

                        彰宏より。
P.S.
レンタルビデオ店のように「貸本屋さん」が、
今でもあればいいのにね。