他の人に読まれないように、君へのメモはわざと汚く書いている。
親愛なる君に

君へのメモの字が、いつも読みにくくて、ごめんね。
博報堂時代から、肩から上司にのぞきこまれながら、
「まだか、速く書け」と言われながら仕事をしてきました。
書きあがると、「はい、次これ」と、
まるで、忙しい中華料理屋さんの厨房のようでした。
書きあがったものを見られるのは恥ずかしくないけど、
書きかけのものを見られるのは、恥ずかしいものです。
だから、僕は、下書きやメモは、
わざと、走り書きにします。
まわりの人に、読まれないようにするためです。
小学館で、締切日にライターみんなが集まって書いていた時、
席を離れても、他の人に読まれないように、
わざと汚く書いていました。
「よく、これで、読めるね」と言われたくらいでした。
どんなに汚く書いても、自分で再現できることが、
大切なのです。
レオナルド・ダ・ヴィンチも、アイデアを他の人に盗まれないように、
鏡文字で書いていたそうです。

                        彰宏より。
P.S.
だから、君へのメモが、ときどき読みにくいのも、
許してね。