柴犬の魅力は、大人の魅力。
(ドラマ『君が光をくれた』)
親愛なる君に

ドラマ『君が光をくれた』(TBS系)は、やられました。
リストカッターの女の子が、保護犬とのやり取りの中で、
自分自身を取り戻していくというお話なんだけど、
パターンになりがちなお話を、脚本家の岡田惠和さんは、
見事に柴犬を描いてくれました。
きっと、柴犬を飼ってるに違いないと思わせる描写でした。
たとえば、クライマックス。

〈ポイント1〉
もらわれていった柴犬と、女の子が再会。
ゴールデン・リトリバーだったら、スローモンションで、飛びつきです。
でも、ご主人1人の柴犬は、知らん顔で通り過ぎます。
そして、女の子が振り返った時、柴犬は、振り返ります。
『東京ラブストーリー』です。
柴犬の最もかわいい顔は、振り返った顔なのです。

〈ポイント2〉
振り返った時、もし、ビーグルだったら、尻尾ぶりぶりです。
でも、柴犬は、巻いた尾っぽが、かすかに揺れるだけです。
そうすることで、今のご主人にバレないのです。
そのかすかな揺れに、元カレ元カノのような大人の恋を感じさせます。
ゴールデンもビーグルも、僕は大好きだけど、
柴犬に設定したら、こうでなければいけません。
岡田さん、やられました。

                        彰宏より。
P.S.
少女役の成海璃子ちゃんも、いい。
この人は、凄い女優さんになります。
最初に発掘した『TRICK』の堤幸彦監督も、さすが引きの眼力が、
悔しいくらい強いですね。