クリスマスの翌日、仕事明けのサンタさんに出会った。
親愛なる君に

東京は、クリスマスの次の日、台風のような大雨になりました。
冬に雷も鳴りました。
雷雨の中、深夜1時半、銀座のクラブから、泥酔の友達をホテルまで抱えて届け、
タクシーを拾おうと、帝国ホテルまで来たら、
表玄関から、裏玄関まで続くような大行列。
もちろん、道中に、タクシーを待つ群集。
そんな時、僕の苦手なことが2つ。

(1) 行列に、ただ並ぶこと。
(2) 1台のタクシーを奪い合うこと。

僕は、歩いて帰ることに決めました。
銀座から表参道まで、駅にして7つ。
全身は、すでにびしょぬれ。
ベルルッティの靴が、歩くたびに、ぐしゅぐしゅ言います。
それでも、iPodを聴いて、歌いながら、大雨の中、
まるで散歩のように、歩いて帰りました。
いい具合に、雨も上がりました。
霞ヶ関まで来た時、ぽつんと1台のタクシーが停まっていました。
まわりに、奪い合う人の姿も、ありませんでした。
「いいですか?」と聞くと、「どうぞ」。
それからまた、大勢のタクシー待ちの人たちが、
表参道まで、続いていました。
不思議だったのは、書き入れ時に、なぜタクシーが停まっていたか。
そして、そこだけ、なぜ人がいなかったか。
きっと、神様のタクシーだったんですね。
仕事明けのサンタさんだったかもしれません。

                        彰宏より。
P.S.
その時、聴いていた曲は、小柳ゆき『あなたのキスを数えましょう』から始まり、
Kiroro『長い間』で、乗れました。