字を書くことは、真剣での立ち回りに似ている。
(高橋英樹さん「一書一顔」)
親愛なる君に

鶴太郎さんの個展の最終日、
もうひとつ、「今日まで」の個展がありました。
高橋英樹さんの書の個展「一書一顔」@東京セントラル美術館です。
池袋三越から、地下鉄に乗って、最終入場にギリギリ間に合いました。
さらに、神様が味方してくれたのは、
英樹さん、ご本人に会って、お話しできたことです。
書を始められたキッカケは、
鶴太郎さんの絵の番組に出られたことだそうです。

やっぱり、来てよかった。
生は、迫力があります。
カタログで見るのとでは、その大きさや力が、違います。
旅館の100畳、200畳もある大広間で書いているビデオが、圧巻でした。
モップのような太い筆は、もはや、手で書くのではなく、
腰で書かねばなりません。
墨をつけた筆は重くて、うっかりすると、筆に体を取られます。
書く前に、目を閉じてシミュレーションする姿は、
まさに、立ち回りの前の武道家のたたずまいです。
4文字書くだけで、36人斬りをした後のように、ハアハアします。
しかも、墨は、粘りがあって、紙に張り付くので、
真剣で人を斬った時のように、血のぬめりがあります。
本当に人を斬った人の話を聞くと、
生身の体を切ると、刀は張り付いて抜けないそうです。
英樹さんの書には、そんな血しぶきのような迫力がありました。
それでいて、どこか、さわやかなのは、
英樹さんのお人柄ですね。
英樹さんの筆に斬られた感じがしました。
斬られた恍惚を、味わうことができました。

                        彰宏より。
P.S.
会場で、偶然、ガダルカナル・タカさんご夫妻に、お会いしました。