大人の落語には、男気と女気と愛と色気と切なさがある。
(『寝ずの番』)
親愛なる君に

津川雅彦(マキノ雅彦)さん監督の映画『寝ずの番』が、
大人の喜劇で面白かった。
落語家の師匠が、いまわの際に、かすれ声で「そそが、見たい」と
遺言めいたことを言う。
弟子たちは、冥土の土産に「そそ(女性の大事なところ)」を
師匠への恩返しに見せてあげようとする。
若い弟子の中井貴一さんが、新婚の妻・木村佳乃さんに頼む。
その話を聞いて、夫を殴る妻。
でも、夫のためと、覚悟を決めて、現場で脱ぐのは恥ずかしいからと、
スカートの下のパンツを脱ぐ。
それを見ていて、欲情してしまう夫・中井貴一さん。
激しい交歓のあと、妻は、夫の師匠の病床に上がり、
顔の上にまたがって、スカートをまくり上げて、大事なところを見せる。
その時、師匠が、かっと目を見開いて、ひと言、つぶやく。
「そ、外が、見たい」
「そそ」と「外」の聞き違いだったのです。
そのまま、師匠は、ご臨終。
ここまでで、やっとタイトルだから凄い。
もう、これだけで、本編が1本できそうな機微がありますね。

                        彰宏より。
P.S.
もてたエロ話の途中で、くも膜下出血であの世行きになる
笹野高史さんも、切ない。

P.S.2
笹野さんがもてたという行きずりの女役の高岡早紀さんが、
やけにセクシーで、いやらしくて、いい。