母性と魔性は、両立する。
(湖月わたるさんの『能楽劇 夜叉ヶ池』)
親愛なる君に

湖月わたるさんの『能楽劇 夜叉ヶ池』@ル テアトル銀座を
観てきました。
泉鏡花の原作は、科白が装飾的なので、
演じる側にも、観る側にも、力量が求められます。
文章から入ろうとするとはじかれやすいけど、
ヒロインのキャラクターで観ていくと、
鏡花の世界にもぐりこむことができます。
鏡花のヒロインは、すべての作品を通して、3つの特性を持っています。

(1) 包容力のある母性。
(2) 妖艶な魔性。
(3) 自然界とつながる破壊力。

わたる君演じる主人公の男が、ヒロインの3つの力に、
振り回され、身をゆだねていくところが、面白いのです。
母性と魔性は、両立するんですね。

                        彰宏より。
P.S.
立ち回りが気迫いっぱいで、最前列の僕の隣に、
わたる君が振り回している釜の刃が、気合が入りすぎて、飛んできました。
目立たないように、そでに入って、刃のある釜に持ち替えていたところは、
気合を入れながらも、冷静なわたる君に、感服です。