常連は、メニューを見ないで、椅子に座りながら注文する。
(自由軒「名物カレー」)
親愛なる君に

大阪の「名物カレー」の老舗『自由軒』難波本店に行って来ました。
織田作之助に愛されたお店ならば、行かねばなりません。
ショーウインドーでメニューを確認して、お店に入ると、
壁に、びっしりとメニューが並んでいました。
どれを頼めばいいのか、迷いました。
僕は、勘違いをしていました。
「名物カレー」は、ドライカレーだと思い込んでいたのです。
「名物カレー」「別カレー」「ドライカレー」と並んでいて、
どれにすべきか迷いました。
「ハヤシライス」ではなく「ハイシライス」と書かれていました。
結局、「名物カレー」にしました。
ドライカレーに見えたのは、カレーとご飯をまぜてあったからでした。
子供の時、家のカレーが辛かったので、
そんな風にしたら、叱られた記憶がありました。
そして、真ん中に、タマゴが落としてある。
タマゴは、2杯目からしか入れてはいけない我が家のカレーからすると、
夢のようなカレーでした。
お店の中は、常連さんだけでした。
壁のメニューを見る人なんて、いません。
まして、ショーウインドーなんて見てるのは、
僕とアジアからの観光者だけでした。
相席で、僕の前に座ったメガネの女の子は、
座りながら「別カレーと串カツ」と、カッコよく注文しました。
ルーとごはんが、分けてあるいわゆるカレーが「別カレー」であることが、
わかりました。
その子は、串カツを、カレーのルーをつけながら、鮮やかに食べていました。
(明日来て、オムライスと串カツを、壁のメニューを見ないで注文したら、
お店の味のあるお姉さんに覚えてもらえるかな)と、
食べながら、考えていました。

                        彰宏より。
P.S.
このお話には、続きがありました。