横道にそれてもいい。徹底的に、行けるところまで行くのが、楽しい。
(元・灘中国語教師・橋本武先生)
親愛なる君に

昨日紹介した『みんなで ニホンGO!』は、
NHKの実験番組の「番組たまご」という枠です。
あえてそういう「枠」としてしまうところが、面白い。
ここから、レギュラー番組が生まれます。
『ソクラテスの人事』『ブラタモリ』も、
こうしてレギュラー番組になりました。
番組は、実験段階の頃が、一番とんがっています。
ゴールデンのレギュラーになると、
とんがりが消えてしまうことも少なくありません。

「番組たまご」の中で、今、僕が注目しているのは、
『ザ・コーチ 人生ノ教科書』です。
凄いかっこいいおじいさんが出てきたなと思ったら、
なんと97歳の元・灘中、灘高の国語の先生でした。
橋本武さん。

授業の進め方が、秀逸です。
国語の教科書は使いません。
中勘助の『銀の匙』の文庫本200ページを、
中学3年間かけて読んでいくという奇想天外な授業です。
駄菓子が出てきたら、実際に探してきて駄菓子を食べ、
百人一首という言葉が出てきたら、みんなでする。
タコ上げが出てきたら、みんなでタコをあげる。
横道それまくりの授業です。

勉強の面白さは、横道にそれても、
徹底的に行ける所まで行くことだと、
気づかされました。
横道にそれることこそ、企画であり、勉強であり、
人生の面白さなんですね。

                        彰宏より。
P.S.
卒業生が、授業で使ったぼろぼろになった
『銀の匙』をいまだに持っていることも素晴らしかった。
97歳の橋本先生が、「もう一度、『銀の匙』で、灘で教えたい」
と言われたのも、感激しました。