商人(あきんど)と芸術家とが混ざり合ったDNA。
(一(はじめ)おじさん)
親愛なる君に

父方の長兄の一(はじめ)おじさんは、
堺で画家をしながら、骨董屋さんをしています。
実家に帰った時、「お茶をいれてあげるから、おいで」
と呼ばれて行きました。

出されたお茶を、すぐ飲んだら、
「器を見なあかん」
と、言われました。
「社長室に入ったら、壁に掛けてある絵を見なあかん」
宮本武蔵が、本阿弥光悦に出会ったような教えです。

「骨董通りで、骨董屋をやってみいひんか」
商売っ気のあるところも、DNAです。
「骨董を飾ってある喫茶店をして、お茶を飲んでもらって、
骨董も売るんや」
アイデアマンであることも、DNAです。

一さんからの年賀状は、
海外旅行のパンフレットの写真に、
ポケモンを切り張りしたコラージュでした。
「かわいいでしょ」と、コメントが書かれていました。
「親戚の子供からやと思った」と、妹が笑っていました。

                        彰宏より。
P.S.
一さんが、天国に旅立ちました。享年87歳。