美人に一夜漬けで教えるのではなく、達人の中から美人を探す。
(映画『ハイキック・ガール!』)
親愛なる君に

空手映画『ハイキック・ガール!』が、面白かった。
格闘もの映画で、面白い条件は5つあります。

【1】ワイヤーを使わないこと。

せっかく格闘家が演じているのに、ワイヤーを使うことで、
技が死んでしまうことになります。
ワイヤーが出始めた頃は、演じても、きちんと体を使っていたけど、
最近、完全にワイヤーにぶら下がってしまって、
体のバランスが崩れているものが多いのが残念です。

【2】早いカット編集や早回しを使わないこと。

ダンスや手品と同じで、カットを割ってしまうと、
本来の芸を見ることができません。
芸の神髄は、カットとカットの間にあるのです。

【3】美人に一夜漬けで教えるのではなく、
長年やっている選手の中から、美人を探すこと。

大阪弁の映画では、どんなにかわいくても、
嘘の大阪弁では、見る気がしなくなるのと同じです。
主演の武田梨奈さんは、
全国の選手権で優勝もしている本物だけに、
この映画は、面白かった。

【4】格闘シーンよりも、きちんと型を見せてくれる。

<基本の型を、無限に反復して、
体の使い方を変えていくことこそ、練習である。>

【5】基本理念が、語られる。

師匠のセリフもよかった。
<空手は、勝つためにあるのではない。
見せるためにあるのではない。
どんな状況でも、絶対に守るため。
どんな状況でも、絶対に生き残るためにある。>

                        彰宏より。
P.S.
エンディングのリハーサル・シーンを見ると、
いかに真剣な現場かがわかります。