描写の説得力があって、初めて、笑いが生まれる。
(噺小屋新春スペシャル 桂米團治独演会)
親愛なる君に

桂米團治師匠の独演会@銀座ブロッサムホールに、行ってきました。
トリの演目は『不動坊』。
このお話は、いかに、寒さの描写に説得力があるかで、
大爆笑になるか、ならないかが分かれる、実は難しいお話です。
主人公が、寒い外から熱い銭湯につかって、
熱いお湯が肌を噛みながら、次第に、あったまっていく描写で、
会場全体に、湯気が立ちあがりました。

面白い、ハプニングもありました。
休憩の後、米團治師匠が話し始めた時、
名前を書かれた「めくり」が、「中入(休憩)」のままだったのです。
一番弟子の米市君が、めくりを忘れたのです。
このまま続けるわけにはいきません。
さて、いつ「めくり」に入るか。
マクラの間に入らないと、本編に入ってからでは、
観客の緊張が、台なしになってしまいます。
ところが、『不動坊』のマクラは、マクラのふりをした
オチの伏線をはる大事な筋ふりです。
米市君、ここしかないというところで、見事に入りました。
ワンエラー&ワンファインプレーです。
事情をわからない米團治師匠も、さすが絶妙のツッコミでした。

                        彰宏より。
P.S.
練り上げられた芸と、臨機応変の芸の2つ見れて、
大変お得な独演会でした。