中に、あふれるほど恋愛小説が入っている。 それらは掌に載るほど小さいが、キラキラと輝いている。 まさに宝石だ。 一話ごとに色や輝き方は異なっていた。 『電池切れ』は、そう、ガーネット。 『八時までのシンデレラ』は、ルビー。 『世界一幸福な女の子』は、真珠。 『神様の賭け』は、ピンクサファイア。 『マネキン』は、エメラルド……。 種々の宝石を、心ゆくまで鑑賞した。 私は満ちたりた気持ちで、ジュエリーボックスを閉じた。