【体験を誇張して書くのが、作家ではない。 体験を薄めて書くのが、作家なのだ】(193ページ) だからでしょうか。この作品、とても濃いです。 お好み次第に希釈して飲めるカルピスのように、 その時々の気分に合った読み方もできます。 そして、もっとおいしいところは、何度となく 読むたびに、また新たな発見があるところです。 濃くて深くて、一筋縄でいかないところこそが、 恋愛の醍醐味なのかしら、と思うと少し切ない。