そのころ、わたしは童話創りに行き詰まっていた。 この本を閉じると、すぐ花屋さんへ走った。 ゲットしたのは、花の種。 種をまくと、毎朝、水をあげた。 「コ・ン・ニ・チ・ハ、し・ぐ・れ・さ・ん」 ある日、やわらかな新芽が顔を出した。 あたらしい命とともに、わたしの中でも何かが輝きはじめた。 少しずつ、少しずつ……。 つぼみが開いた日、パソコンに向かいたくなった。 パソコンの前にすわると、すらすらと指が動いた。 そうだ。わたしの心にも咲いたのだ。童話の花が。