『スピード人間が成功する』(PHP研究所)
評:井狩春男
(「週刊ダイヤモンド」 2000年4月1日号)
 毎月、決まって五点、六点、七点と新刊を出し、その内容の
濃さ、栄養のバランスはますます充実するばかり…。

 走れば走るほどエネルギーが増幅していくように、売れ行き
はグングンと上がる。

 ア・キ・レ・ル! こんなに多くを書きまくり、売れ行きの落ち
ない、いやいや伸びていく著者など、日本広しといえど五人も
いない。中谷彰宏さんである。

 読者の半歩先を行き、引っ張る。何をどう書き、どう売れば
よいのかが完璧にわかっている。おまけに、情報と販売のネ
ットワークを作り上げてしまっている。さらに、独自のベストセ
ラー方程式もお持ちである。

 売れるキーワードは常に変わるものだが、そのへんもわか
っておられる。例えば、今のキーワードは「短い」。それを中
谷さんは、「スピード」と言っている。文章も、実にわかりやす
く、「短い」。本全体にスピード感がある。

 『スピード人間が成功する』は、「所得は、スピードに比例
する」、「予定表は『先延ばしリスト』にすぎない」など、仕事
のスピードに関する具体的なヒントが五五項目。五〇〜六
〇がベストセラーになりやすい項目数であることもご存知な
のだ。ベストセラー術を持った著者による、無敵の100ポイント。