『大人のスピード勉強法』(ダイヤモンド社) 評:井狩春男 (「福邦メディア」2000年春号VOL.3) |
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作家 井狩春男(いがりはるお) 1945年埼玉県生まれ。中央大学第二文学部仏文科中退。 専門書の取次店(株)鈴木書店仕入部勤務。 仕入のプロならではの「売れる、売れない」の視点をもとに本についてのこと なら何でも興味を持ち論じるところから、「ベストセラー博士」の異名もある。 雑誌・TV・ラジオなどでも活躍。 『大人のスピード勉強法』 中谷彰宏著 ダイヤモンド社 定価:本体1400円+税 以前、中谷彰宏さんから、仕事で旅行する時は、バッグに本たちを三十冊 ばかりつめこんで、それを旅先で全部読んでしまうというのを聞いたことがある。 二〜三日の旅行でだ。その時は言わなかったが、たぶん、小生と同じ読み方 をしているのだと思っていた。正しかったことがこの本を読んでわかった。 「第1章『スピード読書法』 本は、買ってきたその日が、一番速く読める」に、 キーワードとなるコピーが十四あるが、そのうちの、「同じ本なら、10時間で 読むより、1時間で読んだほうが得るものが多い」「本の全部を理解することが 目的ではない。わかるところが得るものだ」「数式・専門用語・外国語・脚注を、 飛ばすだけで、本は圧倒的に速く読める」の三つを読んで納得した。 つまりは、小説は別として、たいがいの本は一字一句全部読む必要はない ということだ。自分に必要なエッセンスを吸収すればよいことになる。 そのために「小説以外は、50ページ読んで面白くない本が突然面白くなること はない」わけだから、ツマラナイ、あるいは為にならないと判断できた本は、 さっさと捨てる。「本ほど、安いものはない。モタモタ読んでいるほうが、時間の ムダづかい」なのだから、スピードを上げ、「同じ時間なら、3時間で1冊じっくり 読むより、3時間で10冊読んだほうが得るものが多い」ということになる。 中谷さんは、薄い本や、辞書なら薄くて語彙の少ないものをススメている。 速く読めるということと、エッセンスがまとまっているからだ。「スピード読書法」 「スピード勉強法」「スピード理解法」「スピード記述法」「スピード暗記法」 「悦楽的勉強法」を書いたこの本も、実は速く読めるようにできている。 『大人のスピード勉強法』(ダイヤモンド社) 評:井狩春男「福邦メディア」(2000年春号 vol.3) |