『3分で右脳が目覚めた。』(三笠書房)
評:裕(「奈良新聞」2003年3月2日)

【明日のXを引き出す提言】

私たちの脳は、左右両方の脳がある。
左脳は物事を論理的に考える機能を、
右脳は直観的に感じ取り行動する機能を持っている。
私たちの日常生活は基本的に左脳による思考を経て
行動するようにできているのだが、
ふだんあまり働かない右脳を活性化させるとどうなるのか。
本書は自称「右脳人」である著書による「右脳人間のすすめ」である。

昨今「こうすれば幸せになれる」「こうすれば金持ちになれる」式の
幸せハウツー本が流行している。
本書もその一つだが、
「これであなたも金持ちになれる」
と称して怪しげな株式投資をあおる本に比べれば楽しく読める。
何と言っても、右脳は今を楽しく生きることをつかさどるからだ。

こう書くと随分と軽い本と思われるが
(実際に一晩で読める軽い本なのだが)、
要は人生観の問題である。
伝統的日本人の思考回路は左脳型である。
あの高度経済成長を支えた「プロジェクトX」は、
左脳思考の集積の賜物(たまもの)なのだ。
だが、時代は変わった。
ここらで右脳精神で生きてみようという、
明日のXを引き出すための実験的提言の書なのである。