【この本は、3人のために書きました】
(1) 今、頑張っている20代の人。
(2) 20代でやり残したことのある、30代以上の人。
(3) 20代の部下を指導している人。
【あなたのそばにも、「踊る大捜査線」の長さんがいる。】
どんな会社にも、いかりや長介さんのような人がいます。
君にとってのいかりや長介さんは誰かを考えてみましょう。
「踊る大捜査線」は、サラリーマン社会の縮図です。
「踊る大捜査線」で一番大切なセリフは、いかりや長介さんが言います。
主人公が言うのではないのです。
人生において大切なこと、人が成長していくうえで大切な言葉を
主人公が言うと、物語がダサくなります。
脇役の名優さんがポロッと言うセリフが、作者の一番伝えたかったことです。
作者の一番伝えたかったことは、「これからいいこと言うぞ、おまえに
何か教えるぞ」という姿勢では言いません。
いかりや長介さんは、上司の役ではありません。
窓際で、出世街道をそれてしまった人の役です。
でも、ベテランで、大先輩の言う言葉は、自分の成長に生かせるのです。
誰でも、上司や先輩から学ぼうとします。
一方で、出世街道からそれた人とはかかわりあわないようになってしまいます。
出世欲のあるホテルマンは、ホテルの総支配人や自分の上司には
一生懸命ペコペコします。
話を聞いて、「勉強になりました」と言います。
でも、僕が一番勉強になったのは、ホテルオークラ東京で靴磨きをしている
井上源太郎さんの話です。
靴磨きの源さんは、いろいろなお客様も、ホテルマンもずっと見ています。
年齢は総支配人より上です。
偉い立場の人とは別のアングルからホテルを見ています。
向上心のある人は、源さんに話しかけて、いろいろなことを教わります。
生の体験をしている人から教わることは貴重です。
会社の中には必ず源さんのような存在が必ず1人います。
そういう人は、たいてい出世街道からそれています。
出世していないからといって「あの人から学ぶものはない」と
決めてはいけません。
出世するかしないかは、その人が人として優秀かどうかとはまた別の問題です。
キーワードは、主役ではなく、脇役から出るのです。
(「まえがき」から) |