【勉強すれば、遠くへ行ける。】
僕が受験勉強を一生懸命やっていたのは、遠くに行くためでした。
東京の高校に行きたくて勉強していたようなものです。
東京の一流高校に入れば、
家を出て遠くの学校へ行くことができるというのが、勉強する目的でした。
中学3年生の時の担任の先生に
「東京なんかに行くのはダメだ」と抑えられて、
しぶしぶ地元の進学校に行きました。
もちろん、自分が行った学校にも愛着があります。
その時に、東京の高校に行けなかったのが悔しくて、
大学では東大に行こうと思って勉強ばかりしていました。
僕は打ち込むと、まわりのことが見えなくなります。
ただ、それだけになります。
よくマンガにガリ勉のキャラクターが出てきますが、
まさにあの状態で、休み時間でも昼休みでもずっと勉強していました。
どっちかというと、意地になって勉強しているぐらいの感覚に近かった。
学校の遠足や運動会という行事には一切参加しない。
そんな日は学校を休んで、学校の隣にある図書館の自習室で
勉強していました。
クラス担任は英語の先生でしたが、その先生が英語の時間に
クラスへの連絡事項を話したりすると、
「そんな話は休み時間にやってくれ、授業中は授業をやってくれ」
と言っていました。
イヤなヤツでした。
にもかかわらず、僕はクラス委員をしていました。
忙しいのにクラス委員をしているのは矛盾しているようですが、
矛盾しているところが、いかにも、思春期っぽいところです。
【遠くへ行くために、勉強しよう。】
(「まえがき」から)
※この本は、1998年3月にダイヤモンド社から刊行された
単行本を文庫化したものです。 |