笑っている人は、美しい。
涙をこらえている人は、もっと美しい。
それよりも、もっと美しいのは、涙をこらえて、笑っている人だ。
この本は、僕自身が、涙をこらえているときに、書きました。
本当は、涙をこらえている「君に」ではなく、
涙をこらえている「僕に」という本なのです。
今、読み返してみると、照れくさくて、
書き直したくなるところがたくさんあります。
でも、あえて、ガマンしました。
この本は、涙をこらえていたあの頃にしか、書けない本音だからです。
今まさに、ハッピーの頂点にいる人は、本屋さんに来ません。
本屋さんに来る人は、みんな涙をこらえて、必死にがんばっている人なのです。
涙を流している人だけが、がんばっているのではありません。
涙をこぼさないようにがんばっている人も、いるのです。
瞳から、外に流す涙もあれば、心に流す涙もあるのです。
僕は、知っています。
こぼれそうな涙を、外にこぼさないで、内側の心にこぼして、
頑張って笑っていることを。
(「まえがき」から)
この本は、1994年6月実業之日本社から刊行されました。
1998年6月に、三笠書房「知的生きかた文庫」から刊行されました。
2002年9月にリニュアルして、「王様文庫」に入りました。
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