自分は、死ぬときは、どんな表情をして死ぬだろうか。 
                     
                    できれば、笑いながら死にたい。 
                     
                    人は、死ぬために生きるという。 
                     
                    笑いながら死ねるように、生きたい。 
                     
                    その人の顔を見るとき、 
                    この人がどんな顔をして死ぬのだろうか、 
                    ということを想像する。 
                     
                    タバコをくわえて、 
                    目じりに笑いじわを寄せながら、 
                    ニッコリ笑って死にそうな男がいた。 
                     
                    それが、ロバート・ハリスさんだった。 
                     
                    カッコいいとは、そういうことだった。 
                     
                    生きているとき、どんなにカッコよくても、 
                    死に際に笑っているところが想像できない人は、 
                    やっぱりカッコよくない。 
                     
                    墓標には、こう書かれるだろう。 
                     
                    「笑いながら死んだ男、ここに眠る。笑いながら」 
                     
                    (「まえがき」から)  |